《宇宙》は最古のレディメイド

宗教の時代、《宇宙》は神という作者の作品でした。しかし、信仰が弱まるにつれ、《宇宙》がレディ・メイドだったことが明らかになります。『未来芸 術家列伝』には最古のレディ・メイドとして《宇宙》が掲載されています。その作者として、ピタゴラスやプトレマイオス、ニュートンやアインシュタインと いった膨大な数の哲学者や科学者の名前が並んでいます。彼らはそれぞれ《宇宙》を発見し、そこに名前と日付を刻みましだ。さらに続けて、その作品が既に失 われてしまった作者の名前が膨大に並んでいます。プラトンが燃やしてしまったデモクリトスの宇宙は灰となって未来のどこかにも漂っています。


《貨幣》は未来のオブジェクト

かつて《貨幣》は金を表象するものでした。しかし、それが金と交換できなくなった時、《貨幣》の純粋は抽象性が明らかになります。それは信じられるゆえに存在します。現在の《貨幣》は、未来の返済を担保に創造されます。つまり《貨幣》とは未来への投機そのものであり、未来がなくなると貨幣もなくなってしまいます。逆に言えば、いかなる貨幣も結果的には無価値になります。確率的に損することが決まっている宝くじやギャンブルに需要があることから分かる通り、貨幣が象徴する未来は、確率論的に実現が予想される未来とは異なり、信仰の世界にあります。未来とは何らかの不確定性であり、未来がある限り信仰は残ります。《貨幣》は、実現可能性とは切り離された純粋信仰のアクチュアリティを示しています。


《宇宙(宇宙を買う)》

《宇宙(太陽はダイヤモンドになる)》

《貨幣(お金を買う)》

《若いコインと若いエリザベス》


《宇宙(ベテルギウスのルーレット)》

《ハンドメイドによるダイヤモンド生成》

《ダイヤモンドは永遠の輝き》

《エリザベス2世》


《貨幣(お金を減らす)》

《露天掘りのダイヤモンド鉱山》

《宇宙の0.0958秒外側》

《貨幣(一円硬貨)》


「未来芸術家列伝IV: 宇宙と貨幣」展


企画・主催:アートユーザーカンファレンス